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05:41日の出
宇宙を思い、日の光や澄み切った空気を、辰砂の赤で表したい。前田泰昭は、晩年までそう語っていた。
早朝と夕方、車を走らせて同じ場所へ通った。日の出と夕景を見つめ、スケッチし、それを窯の仕事に結びつけた。辰砂は銅の釉薬で、酸素をしぼった炎のなかでだけ紅に発色する。炎がわずかに乱れれば、紅は黒ずみ、あるいは緑に転じる。狙った紅が出るのは、およそ三割。残りは窯出しの朝に外された。
「絵画とは違う、焼き物の表現だから限界はあるが、逆に焼き物でしか出せない表現もある」。近年は、独立前に取り組んだ染付の青を辰砂の赤と重ね、山や海の姿を描く。奥深い赤と青が重なるところに、この窯の景色がある。
日展や日本新工芸展に出した作品の題を並べると、そのまま一日の光になる。曙、暁、曙光、黎明、輝く朝、陽光、そして残照。半世紀、同じ光を追いつづけた。
窯変天目や黄金窯変など多彩な技法も手がけたが、それらは主役ではなく、本人の言葉では「辰砂に向かうための一連のもの」。本章の記述は窯元確認前